そして櫂を軽やかに回転させる。

その動きは、化け物を狼狽させる。

「な…バ、バカな…身体が動かん…小娘っ!貴様、わしに何をした?」

狼狽していた化け物に動揺が見え隠れする。

「私の櫂の動きを目で追った者は軽い金縛りにかかる…単純な回転運動が時として催眠効果があるのを知らぬほど青二才でもあるまい」

私の言葉に勝ち目ナシを悟ったのか化け物は、すっかり言葉をなくした様だ。

「く…かくなる上は…」

そう言った化け物はチラリと横を見た。