「いやぁああぁっ!」

そのおぞましさに、気の強い純らしからぬ声を上げてゾンビを押し退ける!

嫌だ…!

あんなのに噛みつかれて蟲を体の中に入れられるのは嫌…!

ゾンビになるのなんて嫌…!

死ぬのはもっと嫌!

私は生きて帰って、雄大を守らなきゃならないの!

しかし彼女の周囲には、既に数十体のゾンビの群れがひしめいている。

かすり傷でも致命的。

この数相手に無傷で逃げ延びる方法など皆無に等しい。

「あぁ…」

後ずさりしながら、普段は絶対他人に頼らない純が神に祈る。

お願いよ神様…私は十分頑張ってきたじゃない…。

こういう時くらい私の我儘聞いてくれてもいいんじゃない…?

そんな彼女の言い分が通じたのかどうか。

「!」

後ずさる純の背中に何かが当たる。

それは工事作業の際に乗っている重機…パワーショベルだった。