上空にはヘリが何機も飛んでいる。

「助けてっ!助けてぇっ!」

大声を上げ、空に向かって助けを求める女性。

だがヘリが着陸してくる事はない。

あれは報道関係のヘリ。

着陸した所で地上には何千何万もの市民がいる。

僅かばかりのヘリでは全員を救う事はできず、かえって己の身すら危険に晒す事になる。

それに…後から知った話だが、この街で起きている大惨事は、世間に一切知らされる事はなかった。

報道管制。

パニックを防ぐ為に、政府がマスコミに緘口令を敷いたのだ。

故に街の外に助けを求めても、美原市民を救う者は誰もいない。

陰島の時と同様だ。

彼らの救いの声を、信じる者など誰もいなかった。