「ちょっと止してよ!冗談でしょ?」

オカルトや都市伝説には否定派の純が声を上げる。

「ぼぼぼ、僕も聞いた事はあります…陰島行きの連絡船が廃止になって、陰島に一般人が立ち入り禁止になったのもそれが原因だって…」

山田が額の汗をハンカチで拭いながら言う。

ゾンビ?

呪い?

亡霊?

俄かに信じ難い話に、9人の間に重い空気が流れる。

その空気を。

「くだらないな」

一掃したのは秀一だった。

「その話、正解なのはゾンビだけだ。あいつらは亡霊とか呪いとか、そんな漠然としたものから生まれたんじゃない。生存者も発狂なんてしていない。噂や都市伝説で面白おかしく語っていい事じゃない」

「な…何よ」

説教じみた事を言われ、華鈴がムッとする。

制止する理子を振り解いて。

「あんた偉そうに言うけど、何の根拠があってそんな事言うの?」

突っかかるように秀一に言う華鈴。

「……」

秀一は残る8人の顔を見回しながら言った。

「俺がその『生存者』だからさ」