交通事故、人々の将棋倒し、車両火災。

パニックはパニックを呼び、次々と二次災害が生まれる。

街のあちこちから火の手と煙が上がり始め、その中を秀一達もまた走る。

…走りながら、振り向く。

逃げる人々。

その最後尾を走る者が、時折あのイカレた群れに捕まり、押し倒され、群がられて全身に食いつかれた。

まるで狼の群れに襲われた獲物だ。

生きながら全身を貪り食われるという、常軌を逸した光景。

その光景に、秀一の頭の中で一ヶ月前の『あの島』での記憶がフラッシュバックする。

…やはり悪夢は終わっていなかった。

これはあの悪夢の第二幕の始まりなのだ。