「もう少しですよみんな!頑張って!」

挫いた足の痛みを堪えながら、理子が走る。

最後までゾンビの警戒を怠らず、スコップを握り締めたまま純が走る。

雄大を大切に背負ったまま、山田が走る。

仲間達の体力を気にしながら、幸羽が走る。

全員が全員を気遣いながら、遂に地上へと到着した生存者達。

しかし。

「!?」

地上は、様子がおかしかった。

美原市から数キロ離れた隣の街、その中心部。

普段は喧騒に包まれている筈の地下鉄の駅周辺には、人一人存在しなかった。