地下鉄通路内を急ぐ純達。

美原市から遠ざかれば遠ざかるほど、ゾンビ達との遭遇率は低下していく。

ゾンビ発生の原因である寄生虫が、ここまでは蔓延していない事の表れのようだった。

しかし。

「本当に何なの?このサイレン」

理子が呟く。

生存者達の不安を煽るような低い音。

明らかに何らかの警告音であるような気がしてならない。

…山田の中で、祖父から聞いた話が真実味を増していく。

「す、少しでも美原市から離れた方がいいような気がします~」

「当たり前じゃない、美原市はゾンビの群れに支配されてるんだからっ」

当然だと言わんばかりに反論する純。

「い、いえ、そうではなくて~」

ゼェゼェと息をしながら山田が言う。

「もしかしたらこのサイレン…避難警報じゃないでしょうか~?」