屍都市

逃げる?

食い殺される?

理子と華鈴が顔を見合わせる。

そうしている間に、また事故したバスから数人の乗客が降りてきた。

女性、学生、サラリーマン、老人。

乗客の種類は様々。

ただ、皆一様に負傷して流血している。

中には頭部が3分の1ほど欠落しているような重傷者もいた。

実に不自然な傷だ。

見様によっては、人間の歯列痕のようにも見える傷。

そんな傷を負いながらも苦悶の声すら上げず、彼らは。

「ぎゃあぁぁあぁぁぁっ!」

身近にいた男性の喉笛に食らいついた!