屍都市

ガキン!

女性の柔らかな体に噛み付いたにしては硬質な音。

見れば華鈴が噛み付かれる直前に、秀一が何かを割り込ませていた。

伸縮式の金属製特殊警棒。

三段階に伸縮し、手元のボタンを押す事で自動的に伸びる。

昔『三段ロッド』と呼ばれていた護身具だ。

秀一は咄嗟に割り込ませたそれを噛み付かせていた。

「何やってんだ!」

「え…っ」

突然怒鳴られて、華鈴は目を丸くする。

「早く逃げろ!お前だけじゃない!」

前蹴りで血塗れの男の腹を蹴り上げて距離をとりながら、秀一は周囲に向かって叫ぶ!

「この場にいる全員逃げろ!食い殺されるぞ!」