屍都市

華鈴が、幸羽が、理子が。

目の前に現れたその存在に呆然とした。

血塗れの男。

しかし、しっかりと自分の足で立っている。

怪我しているのかしら、出血がひどい…。

でも痛がっている様子はない。

それに…口に咥えているあれは何?

腕?

あれって人間の腕?

何で腕咥えてるの?

作り物?

わかった、きっと映画の撮影か何かなんだ。

じゃないと説明がつかない。

だって…だってあれじゃあまるで、人間の腕を…食べてるみたいじゃない。

目の前の光景はあまりにも衝撃的過ぎて、恐怖心も、悲鳴も、嫌悪感もない。

そんな状態のまま思考停止する三人の女性。

血塗れの男は、その中の一人である華鈴にズルズルと近づいて両肩を掴んだ。

大きく口を開けた拍子に、華鈴の足元に転がり落ちる人間の腕。

彼はそのまま、華鈴の肩口にガブリと食らいつく!