リーダー気取りで、言動が優等生で。

どちらかと言えばアウトローな聡にとって、秀一は鼻につく存在。

その一方で、警棒一本でゾンビを仕留めるその鮮やかな体捌きは、腕っぷしに自信を持つ彼でさえも目を奪われるものだった。

そんな秀一が命を落とした。

…ライバルの死を喜ぶほど、聡は志の低い男ではない。

超えるならば己の力で。

それ以外の形で秀一に先んじても、何の達成感もない。

何より。

(無念だったろうな…あいつ)

聡は秀一への哀悼の念すら感じていた。

ならば。

薄暗い下水道の中、聡は歩き出す。

あんたの遺志、俺が受け継ぐ。

本来ならあんたが成し遂げる筈だった、生存者達を脱出に導くという役目、俺が成し遂げてやる。

その暁には、俺があんたを超える男になったと、誇ってもいいだろう?