屍都市

一人ではない。

たったそれだけの、しかし大きな希望が、理子をいつもの活発で勝ち気な少女へと変貌させる。

素早くゾンビの群れの僅かな隙間…その突破口を見い出す。

いける。

あの隙間なら、私なら走り抜けられる!

理子は何を思ったのか、ゾンビの包囲の真ん中にしゃがみ込んだ。

両手を地につき、片膝をついて。

冷静に見ればわかる。

それは陸上のクラウチングスタート!

「よーい…」

腰を高く上げて。

「ドン!」

掛け声と共に、理子は猛然とダッシュする!