屍都市

こんなにも無数のゾンビ達が校庭にいるというのに、人間は理子だけ。

(私一人だけ…私は孤独なんだ…!)

華鈴もここにはいない。

頼れる人間なんて誰もいない!

(小野寺のおじさん…!)

祈っても何もなりはしないのに、理子は腕時計を握り締めて目を閉じてしまう。

その時だった。

「何やってるの!」

そんな声が理子の耳に届く。

ハッとして目を開く理子。

「こっち!こっちならまだ逃げられるわよ!」

見ればゾンビ達の包囲の僅かな隙間…校舎の入り口辺りに、大きく手を振る女性の姿があった。

遠くてそれが誰なのかはわからない。

しかし、一人ではなかった。

ここにはまだ、理子の味方がいる!