通い慣れた通学路も、まるで別の道に見える。

散らばった瓦礫、打ち捨てられた車は酷く損傷している。

この車に乗っていた人は大丈夫だっただろうか。

もしかしたらゾンビに襲われて、今頃は…。

想像すると身の毛もよだつ。

自分の体をギュッと抱き締め、緊張を高めながら歩を進める。

…やがて、見慣れた校舎が見えてくる。

美原高等学校。

理子の通う学び舎。

その校門の向こうに。

「あ…!」

ブルーシートが敷かれているのが見えた。

ところどころに三角屋根の白いテントも建てられている。

華鈴が言っていた。

美原高等学校は緊急時の避難所になっている。

きっとこの街の異常事態から逃れてきた人々が、学校に集まっているのだ。

(よかった…助かる!)

自然と足に活力が漲る。

理子は駆け足で校門まで走り。