甘くも苦い誘惑に溺れて



「…そうね…ありがとう…」




何だか少し楽になった。



ずっと…引きずっていたから…私の中の蟠りだったから。




「礼を言うぐれぇなら、抱かせろ」


「…それとこれとは別よ」




本当に懲りない男ね。



少しは見直したって言うのに…結局体なんだから。




「…何だ?」


「…ううん。あなたが…ある人に似ていて…つい、見とれちゃっただけよ」




ある人…。



それは彰ちゃんの事。



高校一年の時に急に居なくなった人…。