同じ街に住んでいるんだから、何度か見かけたことはあった。 向こうは気づかなかったけど、それでよかった。 風の便りに聞いたところ、どこかの文具メーカーに就職し、バリバリ働いているらしい。 すっかりスーツが似合うようになっていた。 雨が降ると彼の事を思い出す。 最後に別れた日が雨だったからだろうか……。