暫く南が出て行ったドアを見つめてから棚に向き直った。

一人にして大丈夫だろうか。
本当はついていった方がよかったんじゃないか。

今更ながら後悔の芽が出始めた。


『これが終わったらメールでもいれとこ』


遠く離れていても連絡さへ取れれば少なからず安心する気がした。

再び本の整理を始めた時、一冊の本が足下に転げ落ちた。
足の上に落ちなくってよかったと一安心してからその本を拾った。


『…天使と悪魔』


どんな内容が書かれているのかは表紙を見ただけではわからなくって、偶々見つけた一つの付箋が気になった私は何気なくそのページを開いてみた。

─悪魔は人に取り憑く。

そう大きく書かれた見出しを見てから横に並んでいる文に目を通した。

─悪魔は人の弱った心につけ込み憑依し、最悪は身体を自らのものとして持ち主の心を壊す。

その続きが気になり次のページめくると一点に目が止まった。


『これ、は…』


一ページ分の絵が描かれていた。

人の体は黒いモヤに包まれ、その体を狙おうとする悪魔の姿。