川島南(かわしまみなみ)高1の時に出来た一番の友達。


「そういえば、またあったらしいよ」

『あぁ、あの失踪事件?』

「そう!今回も私らの学校の生徒なんだけど、でもまた直ぐに戻って来たみたいだよ」


最近、私達の学校の生徒で失踪事件が増えている。
誘拐されたんじゃないかと思うが、身の代金の要求も無く、2、3日経つと失踪していた人は部屋のベッドで寝ているのを発見される。
そしてみんな必ず共通するのが、失踪中の記憶がない。

犯人は催眠術を使う奴とか周りは騒いでるけど、実際何が目的なのかもわからないまま、警察も暗証に乗り上げている。

でも失踪事件は絶え間なく日々起き続けている。


「結局の所、誘拐なのか勝手に失踪しただけなのかもよくわからないし、記憶が無いってのもわからないし。不思議な事件だよねー」

『その事は置いといて、今日までのレポートやったの?』

「あ゛」


南の表情を見れば直ぐにわかる。
また忘れたんだ。


「莉菜、見せて~」

『はいはい』


溜め息混じりにそう言うと、南は嬉しそうに「やったー!」と叫んだ。