薄暗い路地裏を走る足音。
その音は狭い路地裏で響き渡たる。


「もう逃げらんねーぞ」


奥の突き当たりまで一人の少女を追い詰めると、男は腰に掛けてある銃を手にして少女に向けて構えた。
なのに少女は自分が殺されるかも知れないのに驚いたり、泣いたりもせず、ただ無表情のまま。


《…ワタ…シ、ヲ…コロ…ス》


虚ろな目で小さな口から出た言葉は機械音に似ている声。
少女には似使わない声だ。


「あぁ、お前を殺す。それが俺達の仕事だからな」

《コロ…ス、コ…ロス…》


少女は同じ言葉ばかりを繰り返すようになった。
暫くするとカタカタと肩が震え始めた。
恐怖で怯えるのではない。


《アハハハハ!!ワタシガオマエヲコロシテヤルーッ!!》


不気味に笑った少女の体から黒い影がヌメリと現れ、少女は地面に張っていた糸が切れたように倒れた。