急に後ろから声が降ってきた。



 でも、よく聞いたら、聞きなれたいつもの声。




「…いいじゃん。見てるだけで幸せなんだから。」




 そういうと、声の主は笑う。




「どーだか。常日頃、欲求不満のくせに。」




 帰るぞ、と声の主―――臣が言う。



 臣は、あたしの好きな瀧くんの一卵性の双子の弟で。



 そして、あたしのことを好きだと言ってくれる唯一の存在だ。