和田が悶々としてた時、思わぬ所から助け舟がやって来た。

そいつは人目もマナーも気にかける事無く人がごった返す待合室で一心不乱にメイクしてたのだ。

いや…この場合メイク云々は、大した問題では無い。

そいつは、あろう事か見るに値しない醜悪な顔面を持参の手鏡で映し出していたのだ。

人は誰しも美しさに憧れるものである。

なのに何を好き好んで醜い顔を見る?

自分のだから平気なのか?

って、そんな事は、どうでもいい

問題は、ただ一つ

それが解った和田は、梓を親の敵のごとき形相で睨み付けた。

たった一言のセリフの為に…






『便所行って鏡見ながら自分でやらんかい!』

ほっと一息

これでセクハラ外科医と呼ばれる心配もあるまい。