「悪い噂ねぇ〜」

軽く院長室の本棚をはたき始めた梓は院長に背を向けたまま

「でも…事実やろ?」

あっさり言われた院長は

「まぁな…だが、それを表沙汰にして病院の評判を落とす訳にはイカんのだ」

経営者ってのは大変だ。

風評被害に対してドッシリ構えつつ神経をすり潰さなければならない

「ただでさえ待ち時間が長いだの手続きがややこしいなどと言われているんだ。この上、妙な噂が広まったら…あ、そこの床の汚れも頼むよ」

病院の実状を部外者である梓にあっさり話す院長…案外口が軽い?