「なぁ、心。」


一樹の声で閉じていた目を開けた。
目を開ければベージュのカーテンが目に入り、現実を突き付けられる。


--隣に葵がいない現実を…



「おじさんとこの学校通わないか?
実は俺も学校辞めたんだよね。」

「ハハハ」と笑う一樹に


「てめぇ、何してんだよ!!!」


胸倉を掴み怒鳴った。


「だって心一人じゃ寂しいでしょ?



頭を傾け可愛く言う一樹に吐き気が込み上げて来たが、どうにか堪えた。


「それに、心だけだと心配だしさ。」


優しく笑った一樹に


「一緒に学校通ってやるよ。

一樹、すまねぇな…」


胸が温かくなった。


葵に振られてから荒れ狂う俺に一樹は説教をし見放すことなく一緒にいる一樹。


何度感謝してもしきれない。


「なぁ、外行こうぜ?」


「また女?」


眉間にシワを寄せた一樹。


「ちげぇよ、お前が行った美容室に連れてけ。」


「気分転換するのか?
じゃぁ俺と一緒のい「しねぇよ。」」


一樹の言葉を遮り「いい加減、俺離れしろよ。」と言うと


「今の俺には心しかいないから無理。」


と笑顔を浮かべた。