「おい心!!退学になったんだって?」


俺はあの日から一樹ん家に入り浸っている。
学校から帰ってきた一樹がドアを開け俺に向けての第一声は退学の話。


「あぁ」


ドアに背を向けベッドに横になり雑誌を読む俺に


「もうあれから一年だぞ、いい加減落ち着けよ。」


「……」


「毎日、毎日、喧嘩して女と遊んで虚しくないか?」


「……」


反応しない俺に説教する一樹は昔と変わらない。


「はぁ」と溜め息をはく一樹に視線を向けた。


「あ?髪染めたのか?」


昨日は黒かった一樹の髪は赤に変わっていた。
昨日の夜から朝まで女の所にいたから、その時に染めたのだろう。


「ん?--うん、染めた。」


苦笑いする一樹に


「振られたのか?」


「ざまーねーな」と笑ってやる。


「振られた、か…
一年だよ?連絡途絶えて。
だから振られたも同然。気分転換に染めた。」


--気分転換か…


目を閉じれば思い出すのは長くて白に近い金色の髪。
そして


---最後に見た葵の涙…




なぁお前は笑っているか…?



俺は、お前がいねぇと笑えねぇよ。