ドアに預けた体が震えて、木製のドアがカタカタと小さな音を発てた。

震える手で鞄を開け、携帯を取り出す。


「---っ…!」


FROM 若田健吾
件名 後、半月
-------

早く別れろよ


END

-------


たった一言で私の立場を分からせるには十分だった。
ドアをずるようにしゃがみ込んだ私の頬に一筋の涙が流れた。


--助けて誰か…


「しん、ちゃん…」


私が小さく呟いた声は廊下に響く事はなかった。








「葵、どうしたの!?」


ドアに背を預けたまましゃがみ込み動かない私に母が駆け寄ってきた。
俯いた顔を上げ母を見ると


「---葵…その顔…」


金髪で青い瞳の母は眉間にシワを寄せた。





「お母、さん…お、願いがある、の…」


彼を失いたくない。
だけど私にはどうすることもできない…


だからせめて…


彼の笑顔だけは

彼の幸せだけは


守らせて…