「きゃぁぁぁぁーーー!!!」


「気持ちいぃーー!」


私の家へ向かう途中にある急な坂道を勢いよく下る。
ブレーキをかけずに滑り下りる自転車のスピードは速くて当たる風が痛いほど。


坂道を下り右に曲がれば家はすぐそこ。


「---着いた。」


学校からブレーキ無しで初めて家の前でブレーキをかける。


--キキッ


音をたて止まる自転車は古いからではなく、スピードが出ていて突然止まったから。
毎回、自転車が壊れるんじゃないかなと思う。


後ろの荷台から降り、前の籠に入っている鞄を取り心の横に立つ。


「ありがとう。」


「いいぇ~」


「暗いから気をつけて帰ってね。」


「おう。」


自転車に跨がったまま私の腰を引き寄せ顔を近付かせる心。
ソッと目を閉じると同時に唇に温かい温もり。


---キス…


彼を1番近くに感じる瞬間。


離れて行く唇に寂しさを感じる。

咄嗟に心の制服の裾を掴んだ。

心は優しく微笑み唇にキスを落とした----