「10分休憩ー!!」


体育館に響いた一樹の声で、動かしていた足や手を止める。
バスケットボールを籠に戻し、コートを出る。


バックの中からタオルを出し拭こうとした時、体育館のドアが開き葵が顔を出した。


「--あお!!」


タオルを投げ捨て汗だくの顔のまま葵に駆け寄る。


「お疲れ様、はいタオル。」


笑顔で水色のタオルを出す葵に腰を折り顔を近づかせる。


「--ん。」


「えっ!?」


「顔拭いて?」


「--えぇぇ!」


大袈裟に驚き一歩後ろへ下がる葵の手を取り顔に近付ける。
そのまま頬に葵の持っていたタオルを押し付けた。
観念した葵がタオルで優しく顔を拭く。

同じ目線にある葵の顔は赤くなっていて悪戯したくなる。


「はい、できた。」


声と共に離れていく葵の腕を掴み、自分の方へ引く。


「きゃっ」


小さな悲鳴を上げた葵を胸の中に閉じ込める。