彼女を抱きしめると俺の胸に顔を埋める。


「来年も一緒に桜見ような…」


「うん。」


顔を埋めたままの返事は小さかったが俺の耳にはしっかりと聞こえ、自然と頬が緩む。


俺達の隣に立つ桜の木を眺め、昔を思い出した。


入学式をサボって寝ていた俺の横にしゃがみ込んでいた葵。

太陽の光に反射した髪の毛は腰までありとても綺麗で、澄んだ瞳に魅力された。


一瞬で恋に落ちた俺は、今じゃ彼女無しでは生きていけないほど惚れ込んでいる。


一年の時切られた髪は、二年という歳月に元の長さまで伸びた。


胸の中にスッポリ収まった彼女は小さい。
と言っても俺が伸びたんだけど、今の身長差が調度よくキスする時に爪先立ちする葵が可愛い。


まだ幼さが残っている彼女は、最近色気が醸し出され綺麗になった。


付き合って二年の俺達はキス以上のことをしていない。


中三だからって言うのもあるが、一番の理由は"大切"にしたいからだ。


だから抱きしめている今も我慢している。