「---ん、…しんちゃーん!」


春の温かい風に長い髪が舞う。
雲に邪魔されず太陽に照らされ温かい今日は、あの日彼と会った時と一緒。


そして、今いる場所も…。


校舎から見えないように木の影に隠れて寝ている彼の姿。


二年前も、一年前も同じ日に同じ場所。


---私達の大切な思い出の場所…



「しんちゃーん!!起きてぇ!」


緑色に色付いた芝生の上に横になり寝ている彼を揺する。



「--んぁ?」


「しんちゃん、また始業式出なかったでしょ?」


「---んン~…」


「ちょっ、ちょっと、離し-----んっ…」


「あお、おはようのチュー。」


あの日と変わったことは、やたらキスしてくるところと、声変わりして低くなった声。


そして


「俺、何組だった…?」


立ち上がり、腰を折り私と目線を合わせる彼の


---身長…



私と少ししか変わらなかった身長が一年の秋頃から伸び始めた。


「しんちゃん、また伸びた…?」


「--ん?あぁ、春休みに1センチ伸びて177。」


まだまだ伸びるらしい彼との身長差


--15センチ…