「次、藤森心。」


彼の名にビクッと肩を上げ、辺りを見渡す。


---えっ…


いつの間にか、SHRは始まっていて私は自分の席に着いていた。

真ん中の列の前から二番目が私の席。
後ろから「ガタッ」と椅子を引く音が聞こえ、そっと後ろを振り返ると心が椅子から立ち上がる姿が視界に入った。


立ち上がった心が形のいい唇を動かすのをジッと見つめ、さっき髪の毛にキスをした彼を思い出し、ボッと顔が赤くなった。


「藤森心、春日小出身。」


淡々と自己紹介をする心は


「----以上。

あっ、そうそうメチャクチャ可愛い彼女がいるから告白とかいらない。」


最後に爆弾を落とし、私に視線を向け笑顔を見せた。
クラスの女子は頬を染め、友達同士コソコソと心のことを話していたが、心の言葉を聞き悲鳴を上げた。


「---っ…」


慌てて顔を逸らし、前を向く。
暴れる心臓を落ち着かせようと深呼吸をするが全く意味がない。


「心臓に悪い…」


私の声は女子の悲鳴に掻き消された。