「--っ、待って!!」


数歩歩いた所で後ろから彼女の呼び止める声が聞こえニヤリと口角を上げた。


--引っ掛かった…


緩む頬を引き締め、振り返ると頬を赤くして瞳を潤ませている彼女の姿が視界に入る。
抱きしめたい衝動にかられるが、今は我慢。


「何?」


「えっ、あ、その…」


口ごもる彼女にゆっくりと近く。

足を出す度に緑色に染まっている芝生がサクサクと音をたてる。

彼女の前に着くとさっきまで居た場所に再び腰を下ろし、彼女を見据えながら「何?」と声をかけた。


「……」


「付き合うの?」


口を開かない彼女。


---絶対に言わせてやる。


目の前にいる彼女はさらに顔を赤くして俯いた。


--なにがなんでも手に入れてやる。


触れるのを我慢し、返事を待つ。
どのぐらいたったのか、顔を俯かせていた彼女の頭が縦に何度か動いた。


---っ、ヤバイ…


彼女の返事に胸がドキドキと高鳴る。


「顔上げて?」


今だ顔を俯かせている彼女に声をかけると、ゆっくりと顔を上げ澄んだ瞳と視線が合った。