「な、何…?」


髪を引っ張られ驚き振り返る彼女。


「ねぇ、俺と付き合わない?」


下から彼女の瞳を見つめる。
俺の言葉に顔を赤くして固まる彼女に頬が緩む。


「ねぇ?聞いてる?」


「えっ…?」


「だから、付き合ってって言ったの。」


顔を赤くし、視線を俺から外す彼女。
澄んだ瞳の中に俺がいなくなったのを苛立ち、彼女の前にしゃがみ込んだ。


--彼女を逃がさないように


「付き合うって…
今日初めて会ったんだよ?」


「別に初めてでもいいじゃん。」


「でも、貴方のこと何も知らない…」


前にしゃがみ込んだ俺を見つめる瞳は不安げで揺れている。
俺の努力も虚しく、視線を外し頭を俯かせた彼女。
苛立ちが募る。


「これから知っていけばいいじゃん。」


苛立ちも積もるが、恥ずかしそうにする彼女に愛しさも積もる。


「で、でも…」


なかなか承諾しない彼女。


「はぁ…
じゃぁ、付き合わないってことだね。」


「えっ?」


腰を上げ、彼女に背を向け「じゃぁね。」と言い歩き出す。


---これは賭け。


押してダメなら引いてみろ。