彼女は俺の横にしゃがみ込んだまま桜の木を見つめている。
異常なほど暴れる胸のおかげで睡魔はどっかへ飛んで行き、今ではすっかり目が冴えた。

目が冴えた俺は横に座る彼女を観察することにした。


青い瞳と言うより、水色に近い瞳の中に桜の花が写し出されている。
水色と桜色は相性がいいみたいだ。

ピンク色の唇。

ピンク色に染まる頬。

彼女は瞳と同じ水色が似合いそうだ。


彼女の横顔に魅入っていると、不意に振り返った彼女とバチッと視線が交わった。


彼女の綺麗で澄んだ青い瞳に吸い込まれそうになる。
目が合った彼女はフワリと微笑んだ。


----ドクンッ


一度高鳴った心臓はドクドクと加速し苦しい。


微笑んだ彼女の後ろには満開の桜。
こんなに綺麗な桜を見たのは初めてだった。


彼女は再び桜に視線を戻した。


彼女の瞳に写りたい。

彼女の声が聞きたい。

彼女に触れたい。


欲求ばかりが膨らむ。


横になったまま彼女の腰まである金髪の長い髪を一束掴み。
軽く引っ張る。