「めかけでも良いんや。アイラビューって言ってくれるんや」


「麻って英語話せたっけ?」


と聞くと、麻は首を振って、


「ショーンが日本語を話せるんや」


と説明してくれた。
 

その時、ショーンという名前をなぜ思い出さなかったのだろう。


車輪を泣かせていたあの男と同じ名前だったのに。
 

僕が車輪にその話をして、麻のことはもう気にしないで良いのだと言うと、車輪は顔面を蒼白にさせた。


「ショーン…」
 

そう呟いて。
 

次の日、やはり車輪は僕の目にとまる所にいた。


僕が家に行かなくても、車輪はいつだって僕の歩く前にいる。
 

車輪は、言い争っているようだった。


その相手は、かつて車輪を泣かせていた異人だった。


「ショーン、何をする気なん?」