「耕造、好きや」
 

唇が離れるたびに車輪はそう言った。


そして、僕も同じようにした。沢には誰だって来る。


だから誰かに見られているかもしれなかった。


だけど、そんなことはどうでも良かった。


僕と車輪は今、やっと男と女の位置に立てたのだ。


そう思った。


「ずっと一緒にいてや」
 

僕は言ったけれど、車輪はそれには言葉を返してくれなかった。