結核にかかっているからあんなに白いのだ。


そんな口さがないことをいう者も少なくなかった。
 

僕は知っていた。


車輪がどうしてかかってもいない結核を患っているなどと言われ、影で眉をひそめられていたのかを。


車輪は日本人とアメリカ人の混血だったのだ。


車輪が僕にだけ告げてくれた真実。


でも、例え車輪が口をすべらせなくても、彼女の母親が固く口を閉じても、その色の白さは確かに白人に酷似していた。


だからみんな知っていたのだ。


混血の子供は悪魔の子。


いくら器量が良くても髪の色が黒くても、仲間になんか入れてやるものか。


そんな風に声をひそめた大人の汚い言葉を何度聞いただろう。


僕が知らなかっただけで、それをいう者はこの町の者に限らなかったのじゃないかと思う。