「お礼を言わせて欲しい………ありがとう」



穏やかな表情で衛兵の男……アレックスは微笑んだ



向けられた笑顔にカムイも微笑んで返す



「いいよ、気にしないで。僕が好きでやったことだから」



アレックスが座る椅子の傍らにはベッドで眠る銀髪の少女がいた



絹糸のような長い銀髪が扇のように広がっている



フェニは少し警戒しながら辺りを見回す



ここはアレックスの家だ



一人で生活をするには十分なスペースの質素な部屋だ
あまり私物もなく、生活感に欠けるような空間は彼が話した生い立ちに関係している気がした



「それで……お前のアレは何なんだよ?」



穏やかな雰囲気はレイブンの切り込むような声で冷たくなった



「妹がそんな生い立ちで、それと似てる俺たちを見逃してくれるのはわかった。……けどお前は何者なんだよ」



レイブンは鋭い視線をカムイに送る