心臓が早鐘のように激しく鳴り響いている



息を切らしてフェニとレイブンは森の中を走り抜ける



「何っ……よ!ちゃんと、逃げられるんでしょうね!」




息を切らして叫んだ少女、フェニは後ろを走る少年に問い掛ける



「……大丈夫だ……今ごろは大騒ぎだろうけどな……」



端整な顔にクスリとクールな笑みを刻むが、フェニは冷たく目を細めた



「そうじゃなくて、あんたが大丈夫かって聞いてんの!」



言葉の意味を理解してレイブンはムッと眉を寄せる



涼しい表情を保とうとしているが運動神経がいいとはいえ、女の子のフェニよりも数段トロい……



恐らくは長い間檻の中にいたせいだろうけど……



「今からそんなので大丈夫なの?」



「……大丈夫だ」



頑固者……そう思いながらもフェニは不思議な混乱の中にいた



鼓動が激しく打つのは走っているせいだけではないだろう



先ほどの脱出劇のせいだ……