シャラリと軽い金属音が聞こえた
すると突然、後ろから何かに羽交い締めにされた
かろうじて声を上げずにすんだが、背中に鉄の冷たい感触がする
おそらく人……人間の腕が檻の中から伸びてフェニを捕まえていた
すると、耳元で心地いが感情の薄い声が聞こえた
「お前………今日売られて来る予定だった奴だろ?」
鼓動が跳ねた
血液が冷たくなっていく
なんとか落ち着こうと息をはく
「……何、言ってるの?」
おそらくほとんど歳の変わらない少年の声
「しらばっくれるなよ……紅い髪見えてるぜ?」
少年らしい華奢な指がフェニのうなじからこぼれた紅い髪をすくい上げる
「そんなに警戒するなよ……『燃える鬼子』さん?」
その言葉に腕を強く振り払う
パサリと、檻に被せられた布がめくれ上がった
その檻の中にいる少年にフェニは目を見張る
驚きで声もだせず目を見開く
それはその少年が今まで見たこともないほど綺麗な顔立ちだったからではない
鋭い光を宿す漆黒の瞳
それに合わせたような黒い髪と―――――
―――漆黒の翼―――


