照りつける太陽の下、馬車がゆっくりと進んでいる
それを林の影からフェニは見ていた
そこは町の出入口から離れた道の近く
町にはもう戻れない
けれど他の町へ行くのに歩きでは遠すぎた
だから、馬車を待っていたのだ
「すみません!」
タイミングを計りフェニは馬車の前に飛び出した
突然飛び出してきた少女に慌て馬を止めた男は怒鳴る
「何考えてんだバカヤロー!」
「すみません……どうしてもお願いがありまして」
ペコリと丁寧に頭を下げフェニは可愛らしく言ってみる
「どうしても次の町まで行かないともう食事もとれないんです。どうか次の町まで乗せてもらえないでしょうか?」
男は渋い表情になったが馬車の中から声がした
「いいじゃないか一人くらい。早く次の町まで行かないとならないんだよ」
勝ち気なおばさんが一声かけると
「しゃーねぇ、のりな」
顎でしゃくり馬車をさす
「ありがとうございます!」
ホッとしながら馬車に飛び込むとドキッとした


