深夜、なぜかフェニは目が覚めた
まだ眠気があるのになぜか眠れない気がした
真夜中だというのにリビングに灯りが漏れている
不思議に思いなんとなくベッドから降り、扉を少しだけ開いた
父親と母親のひそひそとした声が聞こえ来た
「……本当に?」
「ああ、本当だ。あいつを引き取ってくれるそうだ」
父親の言うアイツとは……フェニのことだろう
引き取ってくれる、とはどういうことだう……?
いつの間にか心臓の音が耳の中でする
「金ももらえる。一石二鳥じゃねぇか」
「……でも」
「大丈夫だよ、ただの見せ物小屋だ。あいつにかけられた苦労に比べりゃどうって事ねぇよ」
いやらしいしゃべり方
その言葉の意味
母親は何の感情も映さなかった瞳に暗い光を灯す
「……そうね」
その言葉は、フェニという少女が捨てられた瞬間だった


