フェニはとぼとぼと町外れにある家に向かった
足取りが重くなるのはいつもの事
フェニは、たった十四年の人生で悟っていた
自分がいらない子供だということを
寂れた家は人の気配は無い
そっと中を伺い誰もいないとわかるとホッとして扉を閉めた
「……フェニ」
突然かけられた声にビクリと身を竦ませる
「なっ…何?お父さん……」
部屋の奥から現れた父親
その手には酒ビンが握られている
「お前……また町のガキ殴ったんだってな?」
「それは……!」
その時、ゆらりと近づいた父親にビクリと身を竦ませる
前回子供とケンカしたときも酷く殴られた
殴られるのを覚悟してぎゅっと目をつむったが、予想していた衝撃はなかった
「まぁ、今回は許してやる。だからしばらく家でおとなしくしてろよ」
にたり、と笑った父親になぜか薄ら寒い悪寒がした
「………はい」
そのまま直ぐに自分の部屋へ駆け込む
その途中、リビングに気配なく椅子に座る母親と視線が合う
フェニを見つめる瞳には何の感情もない
まだ若いはずの母親は、老婆のように疲れ切っている
その姿に後ろめたさを感じ、直ぐに視線をそらして部屋へ駆け込んだ


