「どう?」
「いまは寝てるよ。」
「そう。」
ドクン、
「傷はとりあえず応急処置程度のことはしておいた。」
ドクン、
胸の奥で、かつて沈めたはずのそれがかすかに動く。
うるさい!
黙ってなさい!
言い聞かせた。
湯船に入れた途端に、彼女は意識を失うように眠った。
そのあと寝室まで運び、パトに傷の手当てをしてもらった。
「マキ…顔色わるいよ、平気?」
「平気、ほっといて。」
すると玄関が乱暴に開く音と共にバタバタと廊下をかけてきた人物がいた。
バタン!
勢いよくリビングの扉を開け、
「はぁはぁはぁ…パト、はぁ、タ、タイムは?」
「28分フラット」
「ま、まにあった…はぁはぁ…」
やっと事の発起人、諸悪の根源が来た。
「チャー、バイトは?」パトが尋ねた。
「お、おふくろが倒れたって嘘ついて、はぁ…ぬけだしてきた。」
私はゆっくりと立ち上がりチャーに近付いてその頬に手を添えた。
びく、っと身をこわばらせたチャーに私はなるべく優しい声で、
「チャー…いえ、このくそ大バカ君?私は今とっても虫の居所が悪いの。なぜだと思う?」
チャーは私から目をそらす。
「えっと、おれのせいです……よね?」
「あら、バカのくせによくわかったわね。本当ならいますぐ殴り殺したい所だけど、私は慈悲深い…」
チャーの顔には脂汗がにじみでている。
「私の言い付けを守ってちゃんと三十分以内に来たから減刑してあげる。……歯ぁくいしばれ!」
チャーは覚悟を決めたのか、歯をくいしばり目を閉じた。
だから私は、
思いっきり、
チャーの腹を殴ってやった。

