[水色ジャージの少女]は、杖に向けていた重心を健常な右足の方に傾け始めた。
後でそれが、杖が地面についていなくても転ばないようにする為の初期動作であることが分かった。
重心を右足いっぱいに乗せ、杖が地面から離れていき……その杖は彼女の頭上にまで振り上げられた。
そこでオレは気づく。
(ちょ……まさか……!!!!)
振り上げられた杖は、もはや歩行を助ける為の道具ではない。
頭を下げている少女の後頭部を殴る……ただの“鈍器”として――………
「止めろ梧ッ!!!!!!」
オレはとっさに[水色ジャージの少女]の、杖を握る左手首を掴んだ。
掴んだ瞬間に感じた抵抗感から、本当に振り下ろすつもりであったこと分かった……
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