君想論 〜2人のサヤカ〜



「あぅ……!!!!」

「ウギャアァァ〜〜!!!!????」


爆走少女の体当たりをモロに食らった[梧 清花]は、後ろ向き転倒し、床に強く叩きつけられてしまった!!!!

常備していたト字型の杖は、小さな左手から離れ、カラカラと音を立てて床を滑り、オレのすぐ足元まで転がって来た。

打ち所によっては脳震盪も起こし兼ねない、冷や汗がドッと出るようなリアルな光景だった。


「梧ッ!!!!!!」


オレはすぐさま床に落ちた杖を拾い、廊下に横たわる[梧 清花]の傍に駆け寄った。

[梧 清花]はうつ伏せに倒れたままピクリとも動かない。


「大丈夫か!!??梧ッ!!!???」

「……………」


オレの呼び掛けに反応したのか、両手を床についてゆっくりと上体を起こす[梧 清花]。

首がうなだれていて表情が見えない……




一方、[梧 清花]にタックルをくれてやった張本人・[超爆走短髪炸裂少女]はと言えば、同じく衝撃を殺し切れず転倒、何ともアグロバティックな体勢で床に転がっていた。


「イッテテテ……ふわゎぁ〜!!??またやってしまったぁ〜!!!!!!」


両手で頭を抱え、ぽわわ〜んとした口調の大声を上げる。

そして、体育教師も文句なしで通知表に[5]を書き入れる100点満点のヘッドスプリングで立ち上がり、またもやとんでもないスピードで[梧 清花]のもとへ駆け寄って来た。


「すみませ〜ん……ぶつかっちゃいましたぁ〜……お怪我はありませんかぁ〜……??」


甘ったるいマシュマロみたいな声で、[梧 清花]の安否を確認する。

申し訳なさそうな口振りであったので、どうやら悪気はないのだと分かり少し安心した。

怪我をしていないかは確かに桐野くんも心配の限りだが……




まぁ、天然草食系の[梧 清花]のことだ。

ぶつかられたことで、目立った怒りの表し方はしないであろう。

きっと天使スマイルで軽く流してくれるだろうな――………










しかし――………







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