君想論 〜2人のサヤカ〜



とんでもないスピードで走る少女は、とんでもないスピードを維持しながら、とんでもないことに目ん玉をギュッと瞑(つむ)ったまま爆走しているのだ。

本来なら、授業中の廊下は人気がないので、少しくらい走っても問題はないだろうが、今は違う!!!!


少女が爆走しているコースの延長線上に杖をついた[梧 清花]が居るのだ!!!!

端(はた)から見れば、爆走少女が[梧 清花]の懐に、いざ体当たりしようとしている光景にしか見えない。

しかも、[梧 清花]は何を思い耽っているのか、下斜め45゚俯いたまま歩いていて、迫り来る爆走少女に気付いていないようである。




これはマズイ!!!!


本来ならさっさと[梧 清花]に警戒警報発令を呼びかけるべきだったのだろうが、何分切羽詰まっていたため寸分遅れた!!!!


そして事態は起こる――………





「梧ッ!!!!危ない!!!!!!」

「ッ………!!??」

「ふにょ……??」




ドカッ……!!!!!!




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