しかしまぁ、頼まれたからと言って、何か特別にすることがあるのかと言えば悩み所である。
恐らくこの様子では、[梧 清花]が1人で学校生活を送る分には苦労は無さそうだ。
何せ[梧 清花]は、杖を使っての自立歩行は勿論、階段の上り下りもソツなくこなしている様子だ。
現に今、こうして自分の力だけで階段を登り屋上にまでやって来た訳だしな。
「そんなに気を使う必要はありませんよ……ある程度のコトなら自分一人でも出来ますから……」
「あぁ〜、まぁ……つってもなぁ〜……」
って……何でオレはこんなに真剣になってくれちゃってんだ……??
昨日まで板倉ティーチャーの言い付けを守ろうなんざ思っとらんかったオレだぞ……!!??
たった1日で一体、桐野くんの身にどんな化学反応が起こったのだろうか……
でもアレ何だよなぁ〜……
[梧 清花]は何と言うか〜……何となく一人にしてはおけないと言うか〜……構ってあげたいと言うか〜……守ってやりたいと言うか〜……
この内から漏れる感情の波は何なんだい……??
父性本能か……??
いやいや……どちらかと言えば、ブリーダーの感覚に近い。
[梧 清花]はウサギみたいな存在であってだな、可愛らしい余りについつい撫でる手が伸びちゃうと……そんな小動物を扱うかのような感覚なのだよ。
昨日の売店前に佇んでいた[梧 清花]はツボだったね。
あのポカーンとした見窄らしい姿と言ったら何とも――………
……って、あら……??
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