君想論 〜2人のサヤカ〜





「オレ、両親いないんだよ」


「えっ……」




初めて話すオレの告白に、脳天気野郎の柿金も流石に悪いことを聞いてしまったと、口を噤んだ……




「オレが小学校に上がる少し前ぐらいにな。2人共仲良く交通事故で逝っちまったよ」


今でこそ淡々とした口調で言える不幸だ。

というか経験上、コレくらいの軽口で言ってやらないと、却って相手に気を遣わせてしまうからな――………






































あとで椎名から聞いた話だ。




オレは全く気付いていなかったが、オレがこの告白をした瞬間、


それまで全く興味なさそうに顔を背けていた[梧 清花]が、此方に視線を向けていたらしい。


眉間に皺を寄せることを忘れるくらい、オレの話に聞き入っている様子だったらしい――………