[梧 清花]は随分と無愛想だった。

と言うのも、教室に入ってから今いる教卓に立つまで、ずっと顔を下45゚の角度に固定していて、表情がよく伺えないのだ。

どことなく陰気チックな雰囲気だけは立派に漏れ出ている。


もしかしてオレと気が合うのかもな……

いやいや、桐野くんは自分と同じ属性の女の子とは近寄り難く感じちゃうね。


そんな話は置いといて、転校生の自己紹介兼初めのご挨拶をする空気が完全に出来上がっているというのに、[梧 清花]に全く口を開く気配が見られない。


きっとアレかな……??

緊張して喉がカラカラになってるんだ……きっと……


何も喋らない[梧 清花]を不審がる板倉先生は、疑問符付きの口調でもう一度体当たり。


「……梧さん……??」

「…………」


_