「ワタシ達2人はずっと起きているコトが出来ないんです……1日の間で定期的に主動権を相手に委ねてないと眠くなってしまうんです……」
「眠くなる……??」
「はい……こればかりは本当に説明の仕様がないんです……肉体的な疲労とは全く別物ですから……」
つまりこういうことである。
人間の三大欲求に当たる、食欲・睡眠欲・せ…ゲっフン!!…欲。
[梧 清花]は多重人格という特異な体質により、その内1つの“睡眠欲”の部分が2つに分岐しているらしい。
1つ常人に現れる通常の睡眠欲。
これは常人と同じ、床について眠ることで解消されるノーマルな欲求。
もう1つは常人には理解不能な謎の睡眠欲。
これは“身体”が起きている時にのみに発生する眠気であり、相方に主動権を渡し、意識を完全に飛ばすことで解消される。
眠りについている間は、感覚の共有も寸断され、主動権を受け取ることも不可能である。
「身体が睡眠を取ったとしてももう1つの睡眠欲が解消されるコトはありません……あくまで身体が起きている時に[寝る]必要がある……だからワタシ達は定期的に入れ替わらないといけないんです……」
「なるほどね……だから、学校にいる間にコロコロと豹変しちゃうワケだ」
余談によると、主動権の移動は2人の話し合いによって決めているとさっき話したが、[強い意思]があれば、相手から主動権を強制的に奪い取ることができるらしい。
……更に余談によると、2人が同時に主動権を手放すこと自体は不可能ではないらしいが、コレをやると[梧 清花]の体を動かす人格(魂?)がぶっ飛んだ状態になり、幽体離脱したが如く電池が切れた人形みたいになってしまうため、2人の間ではタブーとしているらしい……


